完全予約制
お問い合わせ・ご予約
月~金 11:00-14:00 / 15:00-20:00土 11:00-18:00日・祝祭日休診
診療メニューを見る
院長美容コラム
ボトックス注射による(手術後)瘢痕治療
院長の野村です。
ボトックス注射による瘢痕治療に関する報告として“ステロイド(ケナコルト)注射よりも、ケロイド抑制に効果的である”、“ステロイドと混ぜてボトックスを注射するとより効果的である”等があります。
—–
写真を見る
https://www.mdpi.com/jcm/jcm-09-00868/article_deploy/html/images/jcm-09-00868-g003.png
A Cは頸部の手術瘢痕に対してボトックス注射を行った症例、
B Dは行っていない症例です。
—–
Effect of Botulinum Toxin A on Scar Healing after Thyroidectomy:
A Prospective Double-blind Randomized Controlled Trial D SBae,J. Clin. Med. 2020, 9(3), 868より引用
Aesthetic Plastic Surgery誌 2021年10月号に、手術後瘢痕をきれいにすることを目的としたボトックス注射の効果や安全性を分析した報告がありました。
(17の研究論文、合計633例を分析しています)
—–
The Efficacy and Safety of Botulinum Toxin Injections in Preventing Postoperative Scars and Improving Scar Quality: A Systematic Review and Meta-Analysis
Z Qiao 1, H Yang ,et al Aesthetic Plast Surg. 2021 Oct;45(5):2350-2362.
結論として、手術前または手術直後のボトックス注射は瘢痕を目立たなくすることに有用であり、注射による副作用は稀で、発生しても軽度である、としています。
ボトックス注射により、筋肉の動きを止めて瘢痕にかかる張力を減じたり、時に創傷治癒に影響する皮脂分泌を抑制することができます。この作用が有効と考えられる顔面瘢痕や小鼻縮小手術前等にボトックス注射を行ってきました。
今後は、瘢痕予防・改善を目的としたボトックス注射の適応拡大を検討します。
ニキビ治療法としてのボトックス注射
院長の野村です。
ここ数年、ニキビ治療法としてのボトックス注射(BTX注射)に関する論文が散見されます。1) 2)
・オイリースキンに対しBTX注射を行うと、皮脂分泌量が減少する。
4週目頃までに皮脂量は最大50%程度にまで減少し、16週後でも効果は持続する。
—–
リンクはBTXを額に10単位(水色)または20単位(青色)注射した時の皮脂量の減少を示しています。
横軸:経過週間 縦軸:減少割合 2)より
Figure – PMC (nih.gov)
—–
・精神的ストレスにより皮脂の分泌量は増える。BTX注射は、このストレスによる皮脂分泌量増加経路を抑制し、ストレスニキビを減少させる。
・ニキビには複数の炎症メディエーター(赤みの原因)が関与するが、BTX注射はこれらを抑制する。
・臨床的には、顔面痙攣など、皮膚や美容目的以外でBTX注射を行っていた症例で、注射部位のニキビの改善がみられた。
リンクは額に顔面脂漏症とニキビがある女性です。
BTX 12単位注射後2週間で改善しています。2)より
Figure – PMC (nih.gov)
—–
当院では、重症または難治性ニキビの第一選択薬として、皮脂量を劇的に減少させるイソトレチノインを処方することがあります。何らかの理由でこれが使用できない例ではボトックス注射もオプションになりうると考えています。
1)Botulinum Toxin A in the Management of Acne Vulgaris: Evidence and Recommendations L Birkett,et al Aesthetic Surgery Journal, Volume 42, Issue 7, July 2022, 507–509,
2)Botulinum Neurotoxin Type A in the Treatment of Facial Seborrhea and Acne: Evidence and a Proposed Mechanism N Rho,Y Chun Toxins 2021, 13(11), 817